












世界中をパニックに陥れている新型コロナウイルス。日本でも2020年4月に「緊急事態宣言」が発出され、国民は「外出自粛」という生涯忘れられない経験をすることになった。映画業界でも劇場休館や公開延期に加え、ほぼすべての邦画が撮影休止に追い込まれ、多くのクリエイターたちが発表の場や生活の糧を失った。
「このままでは映画の灯りは消えてしまう」
そんな危機感が広がる中で生まれたのが本企画である。クリエイターとは、どんな逆境でも良いもの、面白いものを生み出す者ではなかったか?「思うようにできない」制限は、逆に発想力を掻き立て、新しい体験を生み出すチャンスになり得るのではないか?こうして本シリーズはスタートした。世界中に暗いムードが漂う中、クリエイティブの力で、映画の力で、笑顔を生み出してみせよう、と。そして企画に賛同し、5組のトップクリエイターと豪華キャストが集まった。
本企画は2020年3月末、いわゆる「完全リモート制作映画」としてスタートした。だが徐々に社会状況も変化し、5月には緊急事態宣言が解除されるなど、一旦は経済活動の再開も本格化。本企画も「完全リモート」というカテゴリーから、小規模撮影も交えつつ“緊急事態”の記憶を、或いはそれがもたらした変化や意味を「映画」の形に刻み込む試みへと変化していった。1つの重要なテーマのもと、それぞれが全く異なるアプローチで、全く違う5つの「映画」をつくりあげる。ルールはただ一つ。「感染拡大の防止を徹底的に守ること。」それ以外は、本編尺、ジャンル、言語など、一切不問。すべては監督の自由な選択に任される。そして、その結果完成したものは、どれもが監督たちの強い個性を反映した、全くオリジナルで、全く新しい、今でしか作り得なかった新時代のエンターテイメントだった。誰も予想できない5つの「緊急事態」を、その目にしっかりと焼き付けてほしい。



COMMENT
コロナ禍の制限された条件の中で、いったい何を撮れるのか? 考え抜いた僕の結論は、やっぱり家族でした。今、日本中のどの家族にも起こり得る食卓の話です。でもきっと、今まで誰も観たことが無い食卓の物語です。