妥協なき挑戦に、美は宿る

息をのむほど美しく、躍動的な、比類なきバレエ・ドキュメンタリー!

ミルピエ 〜パリ・オペラ座に挑んだ男〜

パリ・オペラ座300年の歴史に若き異端児が挑む、新作上演までの40日間。
創作の喜びを呼び覚ます、エモーショナル・バレエ・ドキュメンタリー

出演:バンジャマン・ミルピエ(映画『ブラック・スワン』振付け・出演)
出演ダンサー:レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャン、アクセル・イーボ、エレオノール・ゲリノー、レティツィア・ガローニ、マリオン・バルボー、オーレリー・デュポンほか
<公演参加クリエイター> 音楽:ニコ・マーリー(「拘束のドローイング」) 衣装:イリス・ヴァン・ヘルペン 指揮:マキシム・パスカル
監督:ティエリー・デメジエール/アルバン・トゥルレー 音楽:ピエール・アヴィア(12月、ランブリング・レコーズよりサントラ盤発売)

2015年/フランス/114分/シネスコ/5.1ch/DCP/原題:Relève/日本語字幕:古田 由紀子/配給:トランスフォーマー  後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
© Falabracks - Opéra National de Paris 2015

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INTRODUCTION 作品紹介

  • 天才振付師バンジャマン・ミルピエが次世代を担う若手ダンサーたちと挑む、芸術の殿堂“パリ・オペラ座”。伝統と革新が激しくぶつかるとき、歴史に新たなページが刻まれる。

    長年に渡り世界最高峰の芸術を提供し続けてきたバレエの殿堂“パリ・オペラ座”。20年近く芸術監督を務めたブリジット・ルフェーブルの退任後、ニコラ・ル・リッシュ、マニュエル・ルグリら錚々たる有力候補を押しのけ、史上最年少で芸術監督に大抜擢されたのは、映画『ブラック・スワン』の振付師であり、女優ナタリー・ポートマンの夫として知られるバンジャマン・ミルピエだった。本作はミルピエが芸術監督として手掛ける新作「クリア、ラウド、ブライト、フォワード」完成までの40日間に密着し、公式プロデュース作品でしか成しえないオペラ座の貴重なバックステージを、スタイリッシュかつ圧巻の映像美で描いていく。階級制度を否定し、エトワールではなく若手ダンサー達からメンバーを選抜、長い歴史の中で初めて黒人ハーフダンサーを主役に抜擢するなど、伝統ある名門に大胆な変化をもたらしていくミルピエだったが、彼の異端ともいえる挑戦は周囲との軋轢を生み、さらにダンサーの怪我、ストライキや衣装の不具合など次々にトラブルが襲い掛かる。果たして公演は無事に初日を迎えられるのだろうか

  • ほとばしる情熱、息をのむほどに美しい映像。
    すべては最高の舞台のために

    出演ダンサーはレオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャンなど“パリ・オペラ座”の次世代を担うスターたち。スローモーションを多用したダンサーたちのエレガントで躍動的な動きは、他のドキュメンタリーを圧倒するほどに美しく、観る者を魅了する。ミルピエとともに公演を作り上げるのは、ビョーク、シガー・ロス、アノーニとのコラボレートで知られるピアニストのニコ・マーリーや、レディー・ガガとのタッグで知られるアヴァンギャルドな気鋭ファッションデザイナー、イリス・ヴァン・ヘルぺン。映像はミルピエやダンサーだけではなく、共に公演を創り上げるクリエイターやスタッフ達の姿も丹念に追っていく。クリエイティブへの深い敬意と愛情が込められた本作は、バレエファンのみならず、創作を愛する多くの人々の心に深く響くことだろう。

  • 「クリア、ラウド、ブライト、フォワード」が生まれるまで

    33分。それが、パリ・オペラ座バレエ団の芸術監督としてバンジャマン・ミルピエが挑む、新シーズンに向けたバレエの上演時間だった。

    アメリカで積んだ経験、若さ、評判、コミュニケーション感覚によって、バンジャマン・ミルピエはこの名高い劇場を覚醒させる。彼の目的は明確だ。バレエは刷新を必要としている。その刷新は、クリエイティブなプロセスの各段階で生じることになる。

    シンプルで完璧な立方体であるグレーの箱から全ては始まる。これが、ステージを照らすたった1列のライトと共に、彼の最初のショーのセットを形作っていく。ミルピエはダンサーをコール・ド・バレエからセレクトした。ステージにはスターもいなければリード・ダンサーもいない。ミルピエはヘッドフォンを通し、友人であるアメリカ人の作曲家、ニコ・マーリーの音楽を聴く。彼は鏡に映った自分自身をスマートフォンで撮影し、身体の動きを探究する。そしてそのステップをノートに書き留めていく。こうして、「クリア、ラウド、ブライト、フォワード」の構想ができ、概要が作られ、細部が書き留められ、上演されるのだ。

  • ミルピエは、ティエリー・デメジエールとアルバン・トゥルレーが、はじめのアイデアからリハーサル、ガラ・プレミアまで、創作過程の各ステップを追うことを許可した。この密着は、彼の創造性、現代性、豊富なエネルギーを知る手掛かりとなる。私たちは彼の振り付けへのアプローチを発見するだけでなく、彼のダンサーたちとの関係、そして伝統あるパリ・オペラ座という組織にどのように取り組んでいくのかを目撃する。

ABOUT MILLEPIED ミルピエについて

1977年、ボルドーに生まれ、少年時代をセネガルで過ごす。アフリカンダンスとコンテンポラリーダンスの教師であった母の影響でダンスを始める。13歳でリヨン国立高等音楽・舞踊学校に入学し、ミシェル・ラーンに師事。1992年夏、スクール・オブ・アメリカン・バレエのコースを取り、1993年に入学。1994年にローザンヌ国際バレエコンクールでキャッシュプライズを受賞。同年、ジェローム・ロビンスにより、スクール・オブ・アメリカン・バレエの学生のために作られた作品“2&3 Part Inventions”の主役に抜擢される。1995年にニューヨーク・シティ・バレエ団のコール・ド・バレエに参加し、1998年にソリストに昇進、2002年にプリンシパルとなる。並行して、2001年、リヨン国立高等音楽・舞踊学校の学生のために作られた“Passages”で振付師としてのデビューを飾る。その他にも、世界中の劇場とバレエ団のための多くの作品があとに続いている。
2004年から2005年にかけてニューヨーク州・ブリッジハンプトンにあるマーク・モリス・ダンス・センターの芸術監督を務め、2006年から2007年はニューヨークのバリシニコフ・アーツ・センターに振付師として在籍。2010年、ダーレン・アロノフスキー監督によるアカデミー賞®ノミネート作『ブラック・スワン』(10)では振付師、アドバイザーを務めた。2011年にニューヨーク・シティ・バレエ団を去り、5つの短編ダンス映画を監督後、ロサンゼルスで自身の会社であるあらゆる形式のダンス公演を行うクリエイター集団「L.A.ダンス・プロジェクト」を設立。2007年、芸術文化勲章のシュヴァリエを受勲しており、また、The United States Artists Wynn Fellowshipの名誉を与えられている。

子どもが絵を描くように、僕は踊る。

DANCERS 出演ダンサー
  • レオノール・ボラック

    レオノール・ボラック

    パリ生まれ。2005年にパリ・オペラ座学校に入学し、2008年にパリ・オペラ座バレエに入団。2014年コリフェ、2015年スジェ、2016年にプルミエ・ダンス―ズに昇格。2017年にはエトワールに任命された。2014年にはAROP賞(パリ・オペラ座振興会賞)を受賞している。ミルピエに積極的に起用され、スジェ時代にすでに「くるみ割り人形」のクララ、「ロミオとジュリエット」のジュリエット、「パキータ」で主演している。愛らしい容姿の持ち主で、特に情熱的なジュリエット役は高い評価を得た。一方でウィリアム・フォーサイス、ウェイン・マクレガー、クリストファー・ウィールドンなどの振付家の現代作品も得意としており、振付家の創造意欲をかき立てるミューズとなっている。「エトワール・ガラ2016」で来日し、2017年3月のパリ・オペラ座来日公演でも「ラ・シルフィード」「ダフニスとクロエ」に出演する。

  • エレオノール・ゲリノー

    エレオノール・ゲリノー

    1988年パリ生まれ。2000年にパリ・オペラ座学校に入学し、2005年にパリ・オペラ座バレエに入団。2008年にコリフェに、2013年にスジェに昇進した。2009年には優秀な若手ダンサーに贈られるAROP賞(パリ・オペラ座振興会賞)を受賞している。2006年に放映されたNHK「スーパーバレエレッスン」に生徒役として出演。2015年には、スジェの地位ながら「ラ・フィユ・マル・ガルデ」3公演で主演した。2017年3月のパリ・オペラ座バレエ来日公演では、「ラ・シルフィード」でパ・ド・ドゥを踊る。小柄だが足先が美しくパリ・オペラ座らしい正統派フランス・バレエを継承していて評価が高い。

  • レティツィア・ガローニ

    レティツィア・ガローニ

    ローマ生まれでイタリアとコンゴにルーツを持つ。2001年にパリ・オペラ座学校に入学し、2009年にパリ・オペラ座バレエに入団。2012年コリフェに昇格。2015年7月に「ラ・フィユ・マル・ガルデ」でコリフェとしては異例の主役リーズ役に抜擢された。この時、パリ・オペラ座創立以来初めて褐色の肌の女性ダンサーが主役を演じたことになる。また12月のピナ・バウシュ振付『春の祭典』では生贄役で主演。シディ・ラルビ・シェルカウイとダミアン・ジャレの「ボレロ」のクリエイションでも抜擢されるなど、あらゆるダンスに適応できる才能の持ち主として注目されている。

  • マリオン・バルボー

    マリオン・バルボー

    パリ近郊出身。2002年にパリ・オペラ座学校に入学し、2008年にパリ・オペラ座バレエに入団。2013年にコリフェに、2016年にスジェに昇進した。2013年のパリ・オペラ座バレエ来日公演「天井桟敷の人々」では、劇中劇「オテロ」の中でデスデモーナ役を熱演した。主な役柄として、「オネーギン」のオルガ役、「ラ・バヤデール」のガムザッティ役など。ミルピエが2015年にプロデュースしたショートフィルム『Naphtali』ではディズニーのアニメ作家ゲレン・キーンによってアニメーション化された妖精を演じている。手脚が長く美しい容姿の持ち主。

  • オーバーヌ・フィルベール

    オーバーヌ・フィルベール

    1988年パリ生まれ。1999年にパリ・オペラ座学校に入学し、2004年にパリ・オペラ座バレエに入団。2010年にコリフェに昇進した。2006年に放映されたNHK「スーパーバレエレッスン」に生徒役として出演する。「眠れる森の美女」の妖精役や「ジゼル」のペザント・パ・ド・ドゥなどのソロ、「白鳥の湖」の小さな4羽の白鳥のほか、2016年は若手振付家ジャスティン・ペックの「In Creases」、女性振付家クリスタル・パイトの「The Season's Canon」などを踊っている。

  • ロレーヌ・レヴィ

    ロレーヌ・レヴィ

    1984年パリ生まれ。1994年にパリ・オペラ座学校に入学し、2003年にパリ・オペラ座バレエに入団。2006年にコリフェに昇進した。同年来日公演「白鳥の湖」で花嫁候補の一人を踊りその美しさで注目され、同年に放映されたNHK「スーパーバレエレッスン」に生徒役として出演する。2014年の来日公演「ドン・キホーテ」ではキトリの友人役を踊った。小顔で首が長く非常に美しい容姿の持ち主でありながら、昇進のチャンスになかなか恵まれないダンサー。

  • イーダ・ヴィーキンコスキ

    イーダ・ヴィーキンコスキ

    フィンランドのヒュヴィンカー生まれ。フィンランド国立バレエ学校を経て2011年にパリ・オペラ座学校に留学生として入学し、2013年にフィンランド人として初めてパリ・オペラ座バレエに入団。オペラ座学校時代には、ドキュメンタリーDVD『未来のエトワールたち パリ・オペラ座バレエ学校の1年間』に登場している。2015年にコリフェ、2016年にスジェに昇進する。人種の多様性を主張するミルピエに重用されたダンサーで、音楽性の豊かさが魅力。2015年12月の「ラ・バヤデール」ではガムザッティ役を踊った。2016年はジャスティン・ペック振付「In Creases」、ジョージ・バランシン振付の「ブラームス・シェーンベルク四重奏曲」に出演。

  • ジェニファー・ヴィソッキ

    ジェニファー・ヴィソッキ

    1989年生まれ。1999年にパリ・オペラ座学校に入学し、2007年にパリ・オペラ座バレエに入団。2015年にコリフェに昇進。「水晶宮」のドゥミ・ソリスト、2016年の開幕公演、ジャスティン・ペックの「In Creases」などに出演している。オペラ座のダンサー、ブリュノ・ブーシェのガラ公演「アンシダンス・コレオグラフィック」に積極的に参加している。2017年3月の来日公演「ラ・シルフィード」ではパ・ド・ドゥを踊る。2016年の8月に結婚したばかりの、金髪と美貌が印象的で優美なダンサー。

  • ロクサーヌ・ストイジャノフ(代役)

    ロクサーヌ・ストイジャノフ(代役)

    フランスのジェルス生まれ。2007年にパリ・オペラ座学校に入学し、2013年にパリ・オペラ座バレエに入団。2016年にコリフェに昇進。カドリーユの19人の受験者の中で1位だった。オペラ座学校時代には、ドキュメンタリーDVD『未来のエトワールたち パリ・オペラ座バレエ学校の1年間』に出演している。「クリア、ラウド、ブライト、フォワード」では当初代役だったが、ジェニファー・ヴィソッキが怪我をしたため急きょ出演した。この作品に出演した唯一のカドリーユ(一番下の地位)のダンサーだった。2016年、ウィリアム・フォーサイスの「Blake Works1」と、ガルニエ宮のパブリックスペースで上演されたティノ・セーガルの作品に出演した。

  • ユーゴ・マルシャン

    ユーゴ・マルシャン

    2007年にパリ・オペラ座バレエ学校に入学し、2011年に18歳でパリ・オペラ座バレエに入団。2014年にスジェ、2016年にプルミエ・ダンスールに昇格した。2015年にはカルポー賞、2016年にはAROP賞を受賞するとともに、2014年にはヴァルナ国際バレエコンクールでブロンズ・メダルを受賞している。191cmの長身に華やかな存在感、鮮やかな技術と現代性を持ち合わせてエトワール候補の筆頭といえる。2015年は「マノン」のデ・グリュー役、「ラ・バヤデール」のソロル役で主演するなど飛躍し、古典から現代作品までレパートリーは幅広い。「ラ・バヤデール」では栄えあるブノワ賞にノミネートされ、オニール八菜と共にボリショイ劇場で開催されたブノワ賞ガラ、ニューヨークでのYAGPガラに招かれるなど今後は国際的な活躍も期待される。昨年「エトワール・ガラ2016」で来日して人気を呼ぶ。

  • ジェルマン・ルーヴェ

    ジェルマン・ルーヴェ

    ブルゴーニュ生まれ。2005年にパリ・オペラ座バレエ学校に入学し、2011年にパリ・オペラ座バレエに入団。2013年にはオペラ座の若手ダンサーに贈られるカルポー賞を受賞している。2014年にコリフェ、2015年にスジェに昇進。バンジャマン・ペッシュが「絵に描いたようなプリンス」と評するように、理想的な体型と貴公子的な容姿の持ち主で、昨年の「エトワール・ガラ2016」で日本でも人気が急上昇。また昨年はレオノール・ボラックと「ロミオとジュリエット」で主演、年末行われた「白鳥の湖」でも王子役で主演し、公演の後、パリ・オペラ座の総裁ステファン・リスネールによって飛び級でエトワールに任命された。パリ・オペラ座の新スターとして、今もっとも注目が集まるダンサー。

  • アクセル・イーボ

    アクセル・イーボ

    1985年ラニー・シュル・マルヌ生まれ。1996年にパリ・オペラ座学校に入学し、2003年にパリ・オペラ座バレエに入団。2007年にコリフェ、2014年にスジェに昇進した。2006年に放映されたNHK「スーパーバレエレッスン」に生徒役として出演。2015年には京都バレエ団の「ロミオとジュリエット」に、マキューシオ役でゲスト出演。主な役柄としては、「ジゼル」のペザント・パ・ド・ドゥ、「眠れる森の美女」の青い鳥、フォーサイスの「イン・ザ・ミドル・サムワット・エレヴェイテッド」など。2016年はシーズン開幕作品、女性振付家クリスタル・パイトの「The Season's Canon」に出演している。明るく愛嬌があり元気の良さが持ち味で日本でも人気がある。

  • フロリモン・ロリュー

    フロリモン・ロリュー

    パリ生まれ。1996年にパリ・オペラ座学校に入学し、2005年にパリ・オペラ座バレエに入団。2009年にコリフェ、2010年にスジェに昇進。主な役は「ラ・バヤデール」の黄金の仏像、「ドン・キホーテ」のエスパーダ、2010年来日公演「シンデレラ」の「春」、「水晶宮」第2楽章など。透き通った青い瞳が印象的な長身の持ち主で、オペラ座の男性ダンサーを被写体にしたマシュー・ブルックスの写真集「Lesdanseurs」の表紙を飾っている。2016年8月よりボストン・バレエにソリストとして移籍。

  • アリステール・マダン

    アリステール・マダン

    フランス、バスク地方生まれ。1999年にパリ・オペラ座学校に入学し、2005年にパリ・オペラ座バレエに入団。2008年にコリフェに、2011年にスジェに昇進した。2014年にはAROP賞(パリ・オペラ座振興会賞)を受賞している。主な役柄としては「ラ・フィユ・マル・ガルデ」のアラン役、「ドン・キホーテ」のジダン役、「ロミオとジュリエット」のマキューシオ役などで、高度なテクニックを必要とする役が得意。ミルピエが2015年にプロデュースしたショートフィルム『Haut vol(高い飛翔)』では、レオノール・ボラックとガルニエ宮内や屋上で踊っている。

  • マルク・モロー

    マルク・モロー

    1986年フランス、ロワイヤン生まれ。1999年にパリ・オペラ座学校に入学し、2004年にパリ・オペラ座バレエに入団。2009年にコリフェに、2011年にスジェに昇進した。2010年にはAROP賞(パリ・オペラ座振興会賞)を受賞している。2006年に放映されたNHK「スーパーバレエレッスン」に生徒役として出演。2007年には「ルグリと輝ける仲間たち」公演で来日して日本でもおなじみとなった。ミルピエからは、オペラ座の芸術監督就任以前からの信頼が厚く、振付作品「トゥゲザー・アローン」ではオーレリー・デュポンとペアを組み、2017年3月の来日公演、ミルピエ振付作品「ダフニスとクロエ」にドルコン役で出演予定。

  • イヴォン・ドゥモル

    イヴォン・ドゥモル

    1997年にパリ・オペラ座バレエ学校に入学し、2007年にパリ・オペラ座バレエに入団。2009年にコリフェに昇格した。オペラ座のダンサー、ブリュノ・ブーシェが率いるグループ「アンシダンス・コレオグラフィック」のガラ公演や若手ダンサー公演に積極的に参加し、自ら振付も手掛けている。踊りも顔立ちも端正なダンサーで、オペラ座の男性ダンサーたちを被写体にしたマシュー・ブルックスの写真集「Les danseurs」にも登場している。

  • ジェレミー・ルー・ケール

    ジェレミー・ルー・ケール

    2004年にパリ・オペラ座バレエ学校に入学し、2011年にパリ・オペラ座バレエに入団。2013年にコリフェ、2016年にスジェに昇格した。2014年には、ヴァルナ国際バレエコンクールにオニール八菜とペアを組んで出場し、ブロンズ・メダルを受賞。2016年7月には、オペラ座のエロイーズ・ブルドンと共にロシアのバレエ団で「くるみ割り人形」と「ドン・キホーテ」に主演した。同年10月にはカルポー賞を受賞。昨シーズンは、開幕公演、ウィリアム・フォーサイス振付「Blake Works I」に出演している。2015年のスジェ昇格をかけた昇進コンクールでは余裕の1位となるなど、テクニックの確かさには定評のある若手ダンサー。

  • ヤニック・ビトンクール

    ヤニック・ビトンクール

    スイス生まれ。2003年にパリ・オペラ座バレエ学校に入学。2005年、ローザンヌ国際コンクールに出場し、スカラシップで英国ロイヤル・バレエスクールに留学し卒業。アメリカン・バレエ・シアターで踊った後、2007年にパリ・オペラ座バレエに入団。2009年にコリフェ、2011年にスジェに昇進。ブラジル人の両親の血を引き、エキゾチックな美貌を持つ長身の貴公子。「ロミオとジュリエット」のベンヴォーリオとパリス役、ウェイン・マクレガー振付「感覚の解剖学」などを踊る。2015年には「白鳥の湖」でオニール八菜と共に主演し、順調なキャリアを築いていたが怪我に悩み、2016年7月には人工股関節置換の手術を受けた。2010年、2012年と新国立劇場の「バレエ・アステラス」に藤井美帆と出演。また、2012年には東京でのガラ公演「Love from Paris エトワール」、2015年には京都バレエの「ロミオとジュリエット」でもベンヴォーリオ役を踊り、日本でも人気が高い。

STAFF 公演スタッフ
  • レオノール・ボラック

    オーレリー・デュポン

    1973年、パリに生まれる。10歳でパリ・オペラ座付属学校に入学し16歳でパリ・オペラ座バレエ団に入団する。1996年にはプルミエール・ダンスーズに昇格。1998年のルドルフ・ヌレエフ演出による「ドン・キホーテ」の上演後、エトワールとなる。2010年にはセドリック・クラピッシュ監督によるドキュメンタリー『オーレリ・デュポン 輝ける一瞬に』が制作された。2015年5月、「マノン」を最後に現役ダンサーから引退。引退公演は、フランスを中心に世界中の映画館とテレビで生中継された他、DVD化され、その人気の高さがうかがえる。2016年2月、ミルピエの後任としてパリ・オペラ座バレエ団芸術監督に就任した。2017年3月に行われるパリ・オペラ座の来日公演では、ミルピエが振付を行った「ダフニスとクロエ」に出演予定。

  • レオノール・ボラック

    エトワール、芸術監督補佐
    バンジャマン・ペッシュ

    1974年、フランス、ベジエール生まれ。1986年パリ・オペラ座学校に入学し、1992年にパリ・オペラ座バレエに入団。1994年マイヤ・プリセツカヤ国際バレエコンクールでグランプリと金賞を受賞。1999年にプルミエに昇進し、2005年、パリ・オペラ座上海公演でプティ振付「アルルの女」と「ジゼル」主演後、エトワールに任命される。ヌレエフ版「白鳥の湖」などクラシック・バレエから、プティ振付作品や現代作品まで、フランス・バレエの神髄を見せながらも、悪役や個性的な脇役までこなす幅広い演技力と表現力も持ち合わせている。2005年より「エトワール・ガラ」のアーティスティック・オーガナイザーとしてダンサーや作品の選定を行い、人気公演に育て上げた。フランスより芸術文化勲章のシュヴァリエを受章している。2016年2月に、24年在籍したオペラ座を定年で引退。ミルピエの芸術監督補佐として働く一方で、ヌレエフ作品の振付指導を行っていた。2016年の秋より、ローマ歌劇場バレエの副芸術監督に就任。

  • レオノール・ボラック

    バレエ・マスター
    セバスチャン・マルコヴィッチ

    パリ出身。パリ・オペラ座バレエ学校で5年間学ぶ。1993年にニューヨーク・シティ・バレエに入団し、2002年にプリンシパルとなる。1997年には、ジェローム・ロビンスがマルコヴィッチに「ブランデンブルク」を振付ける。長身で堂々とした体格、左目の下のタトゥーがトレードマーク。ロビンスの「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」のグリーン・ボーイ、バランシンの「フォー・テンペラメント」のメランコリー、「ストラヴィンスキー・ヴァイオリン・コンチェルト」「シャコンヌ」などが代表作。2014年3月に、妻のジェイニー・テイラーと共にニューヨーク・シティ・バレエを引退し、ミルピエのL.A.ダンス・プロジェクトのバレエ・マスターに就任。パリ・オペラ座でもバレエ・マスターおよび振付指導者としてミルピエの下で働いた。

  • レオノール・ボラック

    リハーサル指導
    ジェイニー・テイラー

    米国ヒューストン出身。スクール・オブ・アメリカン・バレエで学ぶ。1998年にニューヨーク・シティ・バレエに入団し、2005年にプリンシパルとなる。2000年には映画『センターステージ』に出演。ミルピエのいくつかの作品で初演キャストを務める。バランシンの「夢遊病の女」「ストラヴィンスキー・ヴァイオリン・コンチェルト」「シンフォニー・イン・C」「セレナーデ」などの作品で主演した。ほっそりとした体形、輝く金髪の美しいダンサーで、特に「セレナーデ」での光り輝くような踊りは強い印象を残したが、病気に悩まされ、若くして2014年に夫セバスチャン・マルコヴィッチと共に引退。現役ダンサーの時から衣装デザインも手掛けており、ニューヨーク・シティ・バレエやL.A.ダンス・プロジェクトの衣装をデザインしている。また、ミルピエの作品の振付指導者としても働いている。

  • レオノール・ボラック

    衣装
    イリス・ヴァン・ヘルペン

    1984年、オランダ・ワーメル出身。アーネム・ヴィジュアルアーツ・アカデミーでファッションデザインを学び、卒業した2006年にロンドンに移りアレクサンダー・マックィーンのもとでインターンを経験する。同年、アムステルダムで最初のコレクションを開催。2007年には自身の名前を冠したブランド「イリス・ヴァン・ヘルペン」を設立。2011年にはパリ・オートクチュールのオフィシャルゲストに招聘され、春夏・秋冬の2シーズンにわたりコレクションを発表。歌手のビョークからアルバム「バイオフィリア」(11)のためのドレスのデザインを依頼される。デザインしたドレスは、ライブのステージでも着用された。タイム誌はその年の最も優れた発明品のひとつとしてヘルペンのドレスを取り上げ、2011年は彼女の飛躍の年となった。2013年、パリでプレタポルテのコレクションを初めて開催する。ヘルペンのミューズである、アーティスト・ミュージシャンのグライムスをモデルに起用した。2014年、若手デザイナーの登竜門として注目を集めるANDAMファッション・アワードを受賞。また、ヘルペンによる近未来的なデザインの厚底ブーツは、レディー・ガガに着用されたことで世界的に大きな注目を集めた。2015年8月には東京の西武渋谷店で個展「イリス・ヴァン・ヘルペン展」が開催された。

  • レオノール・ボラック

    作曲
    ニコ・マーリー

    1981年、アメリカ・バーモント出身。コロンビア大学で英文学を専攻。卒業後、2004年にはジュリアード音楽院の修士課程で作曲を学び、首席で卒業する。在学中からオーケストラや、ソリストや聖歌隊などさまざまな規模の作曲、編曲を行っていた。フィリップ・グラス、ビョーク、アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズのヴォーカル、アントニー・ヘガティなど多くの名だたるミュージシャンとのコラボレーションを経験した。『クライシス・オブ・アメリカ』(04)でオーケストラの編成を行い、注目を集める。『僕らのミライへ逆回転』(08)、『キル・ユア・ダーリン』(13)、『ぼくとアールと彼女のさよなら』(15・未)など、多くの映画に楽曲提供やオーケストレイターとして携わっている。既に、ミルピエが振付をした演目に何度か楽曲を提供したことがある。自ら演奏をすることもあり、2006年には、フィリップ・グラスが音楽を作曲したオペラ・バレエ「アモヴェオ」でオルガンを弾き、合唱隊の監督をした。

  • レオノール・ボラック

    指揮
    マキシム・パスカル

    1985年、フランス・ナントに生まれる。音楽一家のもと、幼くしてピアノ、ヴァイオリンを習得。2005年にパリ国立高等音楽・舞踊学校に入学する。作曲や楽曲分析、管弦楽組曲を学ぶが、指揮への情熱が沸き起こり、指揮者フランソワ・グザヴィエ・ロトのクラスに入る。2008年、ピアニストのアルフォンス・スマンを始め作曲家やサウンド・エンジニアなど多彩な仲間とオーケストラ「ル・バルコン」を創設する。2013年、パリのアテネ座の専任指揮者に任命される。そこでル・バルコンとともにオペラ「ナクソス島のアリアドネ」を上演。オペラの楽曲も意欲的に演奏している。アマチュアの交響楽団の育成に情熱を注いでおり、2008年以降、パリのアマチュア・オーケストラ「インプロンプテュ」の音楽監督を務めている。2011年、フランスの芸術アカデミーより、優れた音楽家に贈られるシモーヌ・エ・シノ・デル・デュカ財団賞を授与される。2014年には、フランス人として初めて、ネスレとザルツブルク音楽祭でヤング指揮賞を受賞した。

  • レオノール・ボラック

    美術
    ユナイテッド・ビジュアル・アーティスツ/UVA

    2003年、マシュー・クラーク、クリス・バード、アッシュ・ネールによってロンドンで設立された、インタラクティヴ・アーティストの集団である。映像、建築、ライブパフォーマンスなどあらゆる領域の表現が交わるインタラクティブ・アートを制作し、現実と仮想現実、テクノロジーと身体の関係性を問う作品を多く発表している。U2、マッシヴ・アタック、ベースメント・ジャックスなどのライブでステージ・デザインを担当したことでも注目を集めた。ロンドンのサウスバンク・センターやテート・モダン、大英図書館などさまざまな施設やギャラリーで作品が展示され、日本でも六本木ヒルズで作品を発表したことがある。その他バルセロナ、北京、香港、サンクトペテルブルク、メルボルンなど世界中で活動し、あらゆる垣根を越えたコラボレーションを行っている。

  • レオノール・ボラック

    照明
    ルーシー・カーター

    ロンドンの演劇学校、セントラル・スクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマ卒業。振付師のウェイン・マグレゴーが1992年にランダム・ダンス・カンパニーでデビューをして以降、ロイヤル・バレエでの演目を含む彼の公演の多くで照明を担当する。その他にもアーサー・ピタ振り付けによるカフカの「変身」や、マルゲリット・ドンロン振付の「夏の夜の夢」など多数のバレエ公演で照明デザインを務め、バレエだけでなく、演劇やミュージカルにも携わり、幅広く活動している。

REVIEW & COMMENT レビュー & コメント
  • 新芸術監督バンジャマン・ミルピエが
    世界最高峰パリ・オペラ座に挑む孤高の闘いの記録。
    ミルピエのしなやかでいて決して折れない
    創作意欲の強さに感動。

    草刈民代(女優)

  • これは見目麗しきバレエ映画ではなく、旧体制の官僚モンスター、
    パリ・オペラ座に立ち向かう若き勇者の物語である。
    そんなミルピエは2016年2月に芸術監督を辞任。
    僕たちは彼をドン・キホーテだと称してしまっていいのか。

    森山未來(俳優)

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  • 革新と伝統。創造と責任。
    相反する二つの世界に挑む姿は、
    痛々しいまでに美しい。
    いや、生きるとは本来そういうことのはずだ。
    そして、一瞬で消えてしまう舞台芸術の裏側が、
    こうやって形に残ることに大きな意味がある。

    井上芳雄(俳優)

  • ミルピエは周りの人間を抗いがたい魅力で引きつけます。
    彼こそが生きる喜びそのものだからです。
    永遠の一瞬を創り上げる人たちのノンフィクション。

    槇村さとる(漫画家「Do Da Dancin'!」)

  • ダンサーの創作の裏側を刺激的に繊細に描いていて、
    観ていて希望が湧き、今の日本ではこのレベルでできる公演は
    いくつあるのだろうと嫉妬してしまう。
    とても美しい作品です。

    大貫勇輔(ダンサー/俳優)

  • 世界最高のバレエ団でも、以前の彼と変わらず、
    同じ好奇心と野心を持って、
    真正面から自分の信念を貫くバンジャマンの姿が在る。

    梅田宏明(振付家/ダンサー/ビジュアルアーティスト)

  • 振り付けとは勇気と愛。芸術を創り上げる過程とは、
    とまた同様に力強く美しいのですね。

    ジョージ朝倉(漫画家「ダンス・ダンス・ダンスール」)

  • 一つの舞台に注がれる情熱と葛藤。
    厳しさの向こう側にある美には、人を感動させる力がある。
    沢山の想いが開花する舞台の幕開けは、曙に登る光のようだ。

    廣川玉枝(デザイナー)

  • ミルピエのバレエへの愛と若いダンサーの情熱。
    アーティストの苦悩と達成感に満ちたドラマに
    くぎ付けになりました!

    上野水香(バレリーナ/東京バレエ団プリンシパル)

  • この映画は、現代の芸術が抱える問題点を
    デリケートにそして間接的に、
    我々に考えさせてくれるとても興味深い作品である。

    岩田守弘(ダンサー/国立ブリヤートオペラ・バレエ劇場バレエ団芸術監督)

出演:バンジャマン・ミルピエ(映画『ブラック・スワン』振付け・出演)
出演ダンサー:レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャン、アクセル・イーボ、エレオノール・ゲリノー、レティツィア・ガローニ、マリオン・バルボー、オーレリー・デュポンほか
<公演参加クリエイター> 音楽:ニコ・マーリー(「拘束のドローイング」) 衣装:イリス・ヴァン・ヘルペン 指揮:マキシム・パスカル
監督:ティエリー・デメジエール/アルバン・トゥルレー 音楽:ピエール・アヴィア(12月、ランブリング・レコーズよりサントラ盤発売)

2015年/フランス/114分/シネスコ/5.1ch/DCP/原題:Relève/日本語字幕:古田 由紀子/配給:トランスフォーマー  後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
© Falabracks - Opéra National de Paris 2015