ストーリー
破天荒な言動と裏腹に、奏でられる
美しいメロディ。
ピアノの向こうに、
愛すべきひとりの人間の生き様が見える―。
チリー・ゴンザレスは、グラミー賞受賞歴のある作曲家であり、名ピアニスト、そしてエンターテイナーである。ラップ、エレクトロ、ピアノの間を縦横無尽に交差し、従来の枠にとらわれない唯一無二のポップパフォーマーとなった。このエキセントリックなアーティストは、ファイストやジャーヴィス・コッカー、ピーチズ、ダフト・パンク、ドレイクといったようなアーティストたちにインスピレーションを与え、共にコラボレーションをしている。変わり続けることが、ゴンザレスの旅で唯一変わらないことのようだ。観客が彼を解明したと思うたびに、彼は急進的な動きを見せ、なかなか本性を掴ませようとしない。ドキュメンタリー映画『黙ってピアノを弾いてくれ』は、ゴンザレスを、母国カナダから90年代後半のベルリン、そしてパリを経て、世界の名だたるフィルハーモニーホールの演奏まで追う。本作では、ゴンザレスの自信喪失と誇大妄想がコインの裏表になっており、彼のステージでの人格のダイコトミー(二分法)に深く潜り込んでいく。ゴンザレスの遊び心に満ちたキャラクターは、本作の演出にも反映されている。ゴンザレスの幅広い映像アーカイブを用いた本作は、新たに撮影されたインタビューやコンサートシーンに全く異なる時間の架空の素材を織り交ぜることで、彼の人物像を探索していく。私たちがチリー・ゴンザレスの世界へと旅をするにつれ、現実とフィクションの境が不鮮明になっていく。
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