「ポルノ界のアカデミー賞を5回逃した」ポルノ俳優だったが、今は落ちぶれ無一文で故郷テキサスへ舞い戻ったマイキー。別居中の妻レクシーと義母リルに嫌がられながらも彼女たちの家に転がり込むことに成功したが、17年のブランクのおかげで仕事はない。昔の
『タンジェリン』『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』など、アメリカ社会の「声なき声」を掬い上げ丁寧に描くことに定評のあるショーン・ベイカー監督がパンデミックの最中少数精鋭のクルーで作り上げたのは、ご都合主義でうすっぺら、口先だけの元ポルノスターを主役とした、監督のキャリア中最も想定外の本作だった。主演は、過去のポルノ出演映像が流出したことで一時は表舞台から姿を消していたこともあるなど、マイキー役とリンクするかのようなスキャンダラスな経歴を持つサイモン・レックス。カンヌ国際映画祭コンペティション部門で上映されるやいなや彼の熱演は大きな話題を呼んだ。周りを固めるのは、舞台女優のブリー・エルロッドと、地元テキサスに暮らす演技未経験の人々、そして、LAの映画館のロビーでベイカー監督にスカウトされたストロベリー役のスザンナ・サン。本作が初の長編映画出演となるサンは、「次なる大物」として数々のメディアで大きく取り上げられ、注目を集めている。 「物語が本当に起こる場所で撮りたい」という監督の意図のもと、起用されたのはテキサス出身の撮影監督で、『イット・カムズ・アットナイト』や『WAVES/ウェイブス』などトレイ・エドワード・シュルツ監督とのタッグで知られるドリュー・ダニエルズ。テキサス特有の色、湿度、土っぽさを表現するため16mmフィルムを使用し、粗削りでありながらも美しくエモーショナルな景色を映し出している。
1974年カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。18歳でモデルデビューの後、MTVのVJとして活躍。その後「フェリシティの青春」(1998-2002)、「ジャックとジル」(1999-2001)、「恋するマンハッタン」(2002-2006)に俳優として出演し人気を博すも、過去に出演したポルノビデオの流出で「恋するマンハッタン」を1シーズンで降板。テレビから映画へ移行し『最'狂'絶叫計画』以降のシリーズ計3作に出演。ほか最近ではファビオ・フレイ監督の『My Dead Dad(原題)』(2021)や、ケイティ・アセルトン監督の『Mack & Rita(原題)』(2022)でダイアン・キートンとテイラー・ペイジと共演している。また、自身の分身である「ダート・ナスティ」として、2007年にラップ・コメディ・アルバムをリリースして以降、世界中に熱狂的なファンを持つ。
カンザス州トピカ出身。アラン・リックマン演出の一人芝居「My Name Is Rachel Corrie(原題)」をはじめ、数々の舞台で活躍。「夜中に犬に起こった奇妙な事件」、「星ノ数ホド」、「欲望という名の電車」、「十二夜 Twelfth Night」、「エンジェルス・イン・アメリカ」、「二人の貴公子」などに出演。ニューヨークのヘルズキッチン界隈に暮らす9~18歳の子供たちのための演劇プロジェクト「52ndストリート・プロジェクト」にも携わっている。映画ではマーティン・スコセッシ監督作『シャッター・アイランド』(2009)に出演。アクターズ・センターとアクターズ・エクイティ・アソシエーションのメンバーでもあり、ニューヨーク大学大学院で美術学修士を取得している。
1995年、モンタナ州ハミルトン生まれ。ワシントンで育ち、シアトルのコーニッシュ芸術大学でクラシック音楽とミュージカルを学ぶ。ロサンゼルスを拠点とする俳優、ミュージシャン。映画館のロビーでショーン・ベイカー監督にスカウトされ、本作が初の長編映画出演となる。ザ・ウィークエンドが製作・主演を務め、リリー=ローズ・デップとBLAKCPINKのジェニーが共演することで大きな話題を呼んでいるHBOドラマ「THE IDOL(原題)」(2023年配信予定)に出演している。
1971年、ニュージャージー州生まれ。ニューヨーク大学映画学科卒業後、2000年に『Four Letter Words(原題)』で長編映画監督デビュー。NYの中華料理店の配達員として働く不法移民の中国人男性を描いた『Take Out(原題)』(2004)と路上でブランドコピー商品を売って生活する男を描いた『Prince of Broadway(原題)』(2008)の両作がインディペンデント・スピリット賞のジョン・カサヴェテス賞にノミネートされ、『チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密』(2012)はインディペンデント・スピリット賞でロバート・アルトマン賞を受賞。全編iPhoneで撮影したことで注目を集めた『タンジェリン』(2015)はサンダンス映画祭で初上映され、インディペンデント・スピリット賞の最優秀助演女優賞、ゴッサム賞の観客賞とブレイクスルー演技賞を獲得したほか、数々の映画賞を受賞した。『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2017)はカンヌ国際映画祭で初上映され、A24が全米配給権を獲得。ウィレム・デフォーがアカデミー賞®助演男優賞にノミネートされ、ニューヨーク映画批評家協会賞で最優秀監督賞を受賞するなど世界中で称賛を浴びた。
テキサス州出身の撮影監督。SXSWで審査員特別賞および観客賞を受賞した『クリシャ』(2015)や、『イット・カムズ・アット・ナイト』(2017)、『WAVES/ウェイブス』(2019)の撮影監督を務め、トレイ・エドワード・シュルツ監督とのタッグで高い評価を得ている。サンダンス映画祭で最優秀短編賞を受賞した『Thunder Road(原題)』(2016)、アカデミー賞®短編映画賞を受賞した『SKIN 短編』(2018)、HBOドラマ「ユーフォリア/EUPHORIA」(2019-)の数エピソードやAmazonドラマ「アウターレンジ ~領域外~」(2022-)など、世界各地で長編、短編、ミュージックビデオ、CMなど幅広く撮影。Variety誌の「撮影監督トップ10」やアメリカン・シネマトグラファーの「ライジング・スター2020」にも選出されている。
長編映画やCM、ビデオゲームのプロダクション・デザイナー、作曲家、衣装デザイナー、フォトグラファーとして幅広く活躍。ヴォーグ、ウォールストリート・ジャーナル、アディダス、マッチ・ミュージックをクライアントに持つ。ショーン・ベイカー監督の『Prince of Broadway(原題)』で長編映画に初参加し、美術と衣装を1人で担当した。その後ベイカー監督の『タンジェリン』では音楽を、KENZOの短編ファッション・フィルム『Snowbird(原題)』(2016)では音楽と美術を、『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』でも美術を手掛けている。
COMMENT
(漫画家)
(映画監督)
(映像作家/おまけの夜の人)
でも、最後にもう一発当てて欲しいですけどね、マイキーには。
(AV監督)
(文筆業・桃山商事代表)
(ゲームクリエイター)
それを作り出すのは一体何なのか。1つの問いが充満し続けていた。
(ライター)
私たちが、マイキーという“最悪な男”にいつしか歪んだ愛情を抱いてしまうように。
(ライター、編集者)
(AV監督/元AV男優)
(コラムニスト)
(ドーナツ探求家&イラストレーター)
(ライター/編集者)
(コラムニスト)
(アニメーション作家・絵本作家)