第75回ヴェネツィア国際映画祭において、コンペティション部門唯一の女性監督作品として注目されながらも、そのあまりにも過激で衝撃的な内容が物議を醸した『ナイチンゲール』。英国植民地時代のオーストラリアを舞台に、夫と子供の命を残虐な将校らに奪われた女囚クレアの復讐の旅を描く。主人公クレアを演じるのは人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のリアナ・スターク役でお馴染みのアイスリング・フランシオシ。オペラ歌手でもある彼女が劇中で歌うアイルランド民謡は、観る者の胸に美しく切なく響き渡る。また、クレアからすべてを奪う残忍な将校役を『あと1センチの恋』のサム・クラフリンが熱演。
処女作『ババドック 暗闇の魔物』が高い評価を浴びた監督のジェニファー・ケントは、本作をただのリベンジ・スリラーの枠に留まらせることなく性差別や身分差別、そして、先住民アボリジニの迫害と虐殺の歴史を赤裸々に抉り出す。サム・ペキンパー監督作を彷彿とさせるリアリズムとバイオレンスで描かれる、奪われし者達の怒りの物語は、各国の映画祭で絶賛され、ケントはハリウッドで最も注目される監督の1人となった。
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