REVIEW レビュー
70年代後半、僕は建築を学んでいた。
この映画の意匠やディテールは、
懐かしく、ほろ苦く、覚醒的だ。
こんな凄い映像を作り出せる才能に拍手したい。
―森博嗣(作家)
映画『ハイ・ライズ』は、かつて
J・G・バラードが幻視した"1970年代の未来"を、
完璧かつ贅沢に映像化する。
頽廃と洗練を極めたタワーマンション―
その息詰まる崩壊劇から目が離せない。
―大森望(SF翻訳家)
上層階のシャイニーセレブの皆さん、「いい気味~!」
人間社会のグロい裏側もトムのエロい肉体も、ぜーんぶ露わにしてもらいましょっ。
―ブルボンヌ(女装パフォーマー)
階級社会の英国人が、「イギリスの歴史」をひとつのタワーに詰めて、
上下にぎゅんぎゅんシャッフルしてしまった。
呆気にとられる崩壊劇。
でも、意外に爽快かも。
―古川日出男(作家)
タワーマンションは現代のバベルの塔。
天に近付く程、内部は崩壊する天罰が……。
この作品を観てから、タワマンが怖くて
直視できません。
―辛酸なめ子(漫画家/コラムニスト)
「未来の技術は、人が人でなくなることを
可能にすることで人を解放する」という
1960年代末の「マルクーゼのテーゼ」を体現した
1975年の原作が、40年後に映画化される。
そこでは渾沌こそがユートピアになる。
―宮台真司(社会学者)
テーマは重厚……だけど、ロキ様が脱ぐ!暴れる!くるう!英国男子好きにはテッパンの
トム(ヒ)がマウンティング社会の狂気のサバイバーを熱演。
―よしひろまさみち(映画ライター)
トム・ヒドルストンが
「最高の備品」の高層マンションだと!?
閉ざされた楽園の崩壊は、なぜこんなに醜くて美しいのか。
涎の出そうな映像美に陶酔する。
―雨宮まみ(ライター)
007のスーツをブラッシュアップしたようなスーツを着こなした
トム・ヒドルストンは完璧!
―干場義雅(『FORZA STYLE』編集長/ファッションディレクター)
クローネンバーグ作品を踏まえたベン・ウィートリーの映像は
A級のブラック・コメディ
にビルド・アップされており、クリント・マンセルを軸にDAFや
ポーティスヘッドなど過去と現在を自在に引用する音楽も気が利いている。
―三田格(音楽ライター)
もともと理想郷という言葉も概念も、
非人間的な管理社会を指していた。
それを突きつけられる映画だが、作品としては
理想的な極上空間が約束されている。
―岩井志麻子(作家)
目に美しい70年代デザインと、
トム・ヒドルストン。
実は生々しい話なのに、彼だけどこか曖昧で酷薄な
カリスマ感があるのが際立っていました。
―萩原麻理(ライター)