アフガニスタンの紛争地帯で市民を守る任務を背負ったデンマークの治安部隊。その部隊長クラウスは、パトロールの最中にタリバンの攻撃を受け、致命傷を負った部下を守るため、付近の空爆命令を下した。しかし結果として、その決断は部下の命を救った一方で、幼い子を含む、多くの一般市民の命を奪ってしまったのだった…。世界的な評価を集めるデンマークの名匠トマス・ヴィンターベア監督作品の脚本家として、『偽りなき者』(12)、『光のほうへ』(10)といった傑作に携わり、初監督作『R』(10・未)、続く『シージャック』(12)で各国の映画祭を席巻したトビアス・リンホルム監督。脚本も手掛けた新作『ある戦争』は、過酷な戦場の様子をリアルに描きながら、極限状態で問われる人間の正義と命の尊さ、そして一人の男とその家族との絆を監督独自の視線で描いた、珠玉のヒューマンドラマである。トビアス・リンホルム監督は、3作目の監督作で、見事、第88回アカデミー賞®外国語映画賞ノミネートを果たすという偉業を達成した。

製作は、リンホルム監督の前作『シージャック』でもコンビを組んだルネ・エズラとトマス・ラドアー。撮影は『R』、『シージャック』とトビアス・リンホルム作品を手掛け、近年では、デンマーク映画『Bridgend』(原題)で、2015年のトライベッカ映画祭最優秀撮影賞を受賞し、『ある戦争』でもデンマーク映画批評家協会賞を受賞したマウヌス・ノアンホフ・ヨンク。編集は『シージャック』のアダム・ニールセン。

主人公クラウスを演じるのは『シージャック』や『LUCY/ルーシー』(14)で国際的に活躍目覚ましい、デンマークを代表する名優ピルー・アスベック。現在ハリウッドで製作中の実写版<攻殻機動隊>こと『GHOST IN THE SHELL』(原題)ではバトー役を演じ、北野武や福島リラと共演することでも話題となっている。妻マリア役には、『ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男』(05)のツヴァ・ノヴォトニー。献身的にクラウスを支えるマリアの孤独と葛藤を繊細に演じ、デンマークのアカデミー賞ともいえるロバート映画祭で最優秀助演女優賞を受賞している。また、主人公を冷静にサポートする弁護士役にはソーレン・マリン。人気TVドラマシリーズ「THE KILLING/キリング」でイエン・マイヤ役を演じ、日本でも人気を博した彼は、『シージャック』に続き、ピルー・アスベックと息の合った演技をみせている。