作品情報
INTRODUCTION -イントロダクション-
近未来―死刑囚たちが乗せられた宇宙船内で行われていた実験とは!?
フランスの鬼才クレール・ドゥニ(『パリ、18区、夜。』)が仕掛ける
新たなるSFスリラーの傑作!
2018年トロント国際映画祭GALA部門で本作がプレミア上映されると、大絶賛とブーイングが同時に巻き起こり、会場はめったに見られないほど騒然とした雰囲気に包まれた。「ショッキングな問題作」として現地メディアに報じられながら、批評家からは映画祭で一、二を争うほどの大絶賛を浴び、今をときめく配給会社「A24」が全米配給権を獲得したことでも話題となった。
物語の舞台は近未来―太陽系をはるかに超え、漆黒の宇宙に突き進む一隻の宇宙船「7」。その乗組員であるモンテ(ロバート・パティンソン)や、ボイジー(ミア・ゴス)など、9人のクルー全員が実は死刑や終身刑を告げられた重犯罪者たち。彼らは、美しき科学者・ディブス医師(ジュリエット・ビノシュ)による、ある実験に参加することで重い刑罰を免除されるが、それは地球へ帰る保証のない旅だった。彼らの行き着く先は一体?
本作は、『ショコラ』『パリ、18区、夜。』『ネネットとボニ』など、女性監督ならではの感性で時代を切り開いてきたフランスを代表する巨匠クレール・ドゥニ監督が、初めて挑むSF作品であり、初めての英語による長編映画。主人公モンテ役には、監督が『トワイライト』から注目していたというロバート・パティンソンを抜擢、フランスを代表する国際女優であるジュリエット・ビノシュが、謎の科学者・ディブス医師を演じている。その他、新作『サスペリア』も話題のミア・ゴスが、ボイジー役として重要な役どころを演じる。またフランソワ=ルノー・ラバルトが手がけた美術は、斬新だがレトロな雰囲気を観る者に感じさせ、往年の名作SF映画へのオマージュも感じさせるデザインワーク。宇宙船内という“密室”で、嫉妬、怒り、欲望と様々な人間模様がサスペンスフルに描かれる『ハイ・ライフ』。クレール・ドゥニ監督が仕掛ける衝撃のSFスリラーの傑作が、新たに誕生した。
STORY -ストーリー-
究極の密室、目覚める欲望
遥か宇宙の涯て、モンテ(ロバート・パティンソン)とまだ赤ん坊である娘のウィローは、宇宙船「7」で共に暮らしている。厳格な自制心によって欲望から身を守る男・モンテは、自らの意志に反して彼女の父となっていた。2人の旅は、どこに向かっているのか、おそらく彼らにも分からない。
―かつて、宇宙船には9人のクルーがおり、その全員が死刑や終身刑を告げられた重犯罪人たちだった。モンテやボイジー(ミア・ゴス)らは、時の政府と取引し、死刑や終身刑と引き換えに生きて地球へ戻る保障の無い宇宙船に乗り込み、“人間の性”に関するある実験に参加する事を選択したのだった。船内で彼らは、科学者であり医師であるディブス(ジュリエット・ビノシュ)に薬でコントロールされ、生殖実験のためのモルモットとして協力させられていた。宇宙空間では様々な放射線の影響により、新たな生命が産まれる可能性は低かったが、ディブス医師は強い執念で実験を続けていた。
地球を離れて3年以上。彼らの精神は、限界に近づきつつあった―。
そんな中、彼らの最終目的地「ブラックホール」が目前に迫っていた。「ペンローズ過程」(※)実現のため、時間と空間が消滅すると言われる「ブラックホール」に接近を試みるクルーたち。
だが、その前に悲劇が彼らを待ち受けていた。
※ペンローズ過程:1969年、イギリス人宇宙物理学者ロジャー・ペンローズにより提唱された、自転するブラックホールからエネルギーを取り出す過程のこと。現段階では思考実験でしかない。